ワタクシ、とあるイベントでアーティストのスプツニ子さんの講演を聞いた。
これがなかなか衝撃的で、こんなにすごい人が日本人にいるのか!?っていう感じ。
正直スプツニ子!さん、ワタクシは存じ上げず、最初に出てきたときは「なんか飛んだ人がでてきたなぁ。。つまんなかったら別の講演に行こ―」くらいの感覚だったのだけど、いい意味で全く裏切られた感じ。本当に聞いてよかった!
ご存じない方のためにプロフィールを簡単に、
Sputniko!(スプツニコ、スプツニ子!)
東京を拠点に活動するアーティスト。専門はスペキュラティブデザイン。
本名は尾崎マリサ優美、日本人とイギリス人のハーフ、両親ともに数学者。
インペリアル・カレッジ・ロンドンを2年で卒業₍飛び級₎
プログラマ→アーティストを経て2013年にMITの助教へ
2019年10月現在は東京芸術大学の准教授
写真はスプツニ子!さんの関連サイトより
そもそも名前も不思議で、「スプツニ子!」?なんだそれ。。と思うのだけど、ご本人曰く、これ、学生時代のニックネームとのこと。
「ロシア人っぽい」⇒「ロシアと言えばスプートニク」⇒「日本人なら子をつけたれ」と言うだけの理由だったそうで、面白いのは、それであれば正式な呼称に変えればいいのに、なんとMITの教授リストにも「スプツニ子!」のまま登録されているらしい。。
そういうの、あまり気にされない方なんですね。
で、この専門にしている「スペキュラティブデザイン」というのがまた面白くて、日本語では「問いを立てるデザイン」とのこと。
例えばデザインとは?と言ったとき、何を想像しますか?
ワタクシなんかは飲みやすいペットボトルだとか、かっこいいスマートフォンだとか、つまり見た目や機能を作りこむものをイメージします。
でもスペキュラティブデザインは違っていて、彼女によると「デザインで未来を創造し、問いかける=問題提起するもの」とのこと。
ちょっとわかりにくいですので写真で紹介します。
例えば「運命の赤い糸」の話。
緑に光るクラゲの遺伝子や、赤に光るサンゴの遺伝子を蚕に入れると、それぞれ目が緑や赤に光るんだそう。
写真はスプツニ子!さんの公開動画等より
で、赤い目をした蚕からとれる糸も赤いそうで、これに恋愛ホルモンとして有名?な「オキシトシン」を投入すると、なんと身にまとうだけでれないできる運命の赤い糸ができる!?とのこと。
これ、糸としては既にできているそうで、とある神社に行くと、その糸を使ったお守りが購入できるんだそう。
下の2枚はスプツニ子!さんの作品動画の中の話なのだけど、運命の赤い糸でできた赤い服をまとう女の子が、オキシトシンの影響で目がランラン。追いかけられている白衣の男性は、女の子が憧れる「先輩」で、実はスプツニ子!さんが熱演されていたりします。
後ろにいるエキストラも、ツイッターで「誰かやりたい人いますかー」と聞いたら続々と集まってきたとのことで、、なんだかぶっ飛んでる。。(いい意味で)
例えば「同性愛カップルから生まれた子供」の話。
例えばLGBT(レズ・ゲイ・ボーイズラブ・トランスジェンダーの略)。最近ではだいぶTVなんかで見かけるようになりましたね。
まだまだ賛否両論かもですが、増えているのは事実。
でも、どんなに愛し合っていても、例えば女性同士のカップルに子供ができることは、、ふつうないですよね?
でも、これを現実のものにしたのが下の写真。
出所)サイエンスニュースさんのサイトより引用
わかりますか?左側の女性は実在する日本人。右側の、一見男性?にも見える人は、彼女の恋人である女性。そして、真ん中にいる2人の女の子は、このカップルの子供。。
あれ!?女性同士で子供って。。うめないはずじゃぁ。。
もう一つ、同じ家族の写真です。
出所)サイエンスニュースさんのサイトより引用
こちらもどうでしょう?なんだか不思議なくらい自然ですね。
実はこれ、2人のカップルは実在するのですが、2人の子供は、カップルの遺伝子情報を基に作られた写真で実在はしません。
でも、こうした写真=未来のデザインを作り上げ、実際に目に見える形にすることで、実はそうした未来が近づいているという「問いを立てる」と言うこと。
つまり「問いを立てるデザイン=スペキュラティブデザイン」なんですね。
むかし騒がれた「試験管ベイビー」
ワタクシも覚えていますが、体外受精で生まれた子供に対して、昔は結構ひどい扱いをしていました。
象徴的な言葉が「試験管ベイビー」。ずいぶんひどい言い方ですし、でも実際に差別はあったんだと思います。
ちなみにワタクシはまだ小学生?だったので、言葉として聞いたことあるなー、、くらいですが。。
でもあるデータによると、なんとアメリカでは、学校の1クラスに2人が体外受精なんだそう。
自分のクラスに実はそうした友達がいる、、だんだんそれが当たり前になるということですね。
同じことが、今は架空の「同性愛カップルの子供」についても起こる可能性がある。
と言う問いを、スプツニ子!さんは投げかけているんですね。
技術的にはできるが、しかし人の意識がついてこない
先ほどの同性愛カップルの子供、実はもう技術的にはできるんだそう。
女性同士であればIPS細胞で、片方の細胞から精子を作り上げ、もう片方の卵子に授精させ、どちらかの子宮に戻すんだとか。
恐ろしいのは男性同士で、これも技術的にはできるんだそう。
つまり男性同士でも、片方からIPS細胞を作り出し、卵子にして、もう片方の精子と受精させ、子宮がありませんので代理出産を依頼する。。
これで男性同士の実子ができるわけですね。
重要なのは、「技術的にはできるが、人の意識がついてこない」ということ。
そりゃぁ、そのあたり比較的ニュートラルなワタクシから見てもずいぶんスゲーなーな世界ですし、倫理的にちょっとどうなんだろう。。とも感じます。
でも、そうした問いを投げかけ、考えるきっかけにする。それが彼女の訴えることなんだと理解しました。
サラリーマンしてると、同じ世界の情報に閉ざされがちですが、もうすごい衝撃というか、まさに頭揺さぶられる気分。。
スプツニ子!さんに感謝!です。