サラリーマンが不動産投資をする際、まず最初に行うのが物件の探索。
検索に有効なインターネットサービスは多々ありますが、見るとわかる通り、物件数がたくさんありすぎて逆に何を選んでよいのかわからなくなりますよね。
重視すべき要素は人により様々ですが、共通して言えることも多いです。
ここでは、不動産投資初心者の方が、何を基準に物件選びをしたらよいのか?そのポイントについて解説します。
もくじ
【指標1】表面利回り
不動産投資をする上で最もメジャーな指標ですね。
例えば物件検索サイトの楽待(らくまち)を見てみますと、「収益物件を検索」の箇所に「利回り」と言うのがあります。これがつまり「表面利回り」で、計算式は以下のようになります。
<計算式>
表面利回り(%)= 年間家賃収入 ÷ 物件価格×100
昔は20%超も結構多かったのですが、最近見てみると10%を割り込むものが多いですね。
で、ワタクシが考える最低ラインは表面利回り12%超。
これくらいないと、大金使って不動産投資する意味が薄く、満室経営できればいいですが、1室でも空きが出ると途端に厳しくなってきます。
皆さんが物件検索される際は、12%超と言うのを意識して検索してみてください。
【指標2】実質利回り
先ほどの表面利回りは、本当にシンプルに収益を支出で割ったもの。これだと「おおよその収益の目安」にはなりますが、実体を正確に表しているとは言えません。
より正確な収益を確認するための方法として「実質利回り」と言うのを確認しましょう。
計算式は以下のようになります。
<計算式>
実質利回り(%)=(年間家賃収入 - 年間運営費用)÷ 物件取得価格×100
見てわかる通り、実際の運営費用を年間収入から引いたものを、物件価格で割っています。
この際、年間家賃収入は、満室時のものだけでなく、1~2室空室が出た場合などのシミュレーションもするようにしましょう。
また、年間運用費用として、問い合わせ対応含む一次受付・管理業務の一切を引き受けてくれる管理会社への委託費用、共用部の電気代に水道代、定期的な清掃費用、退去時の室内改装・清掃費用など、様々なものがあります。
物件取得価格についても、物件の状態によっては初期改修費用がかさむことがあります。
こうした費用をおおむねで算出し、利回り計算に加味することで、より実態に即した利回りを確認します。
ちなみにこの実質利回りベースで10%を超えるような物件があれば合格ですね。また、仮に2~3割が空室になっても、利回りが0を割り込まないような計画を立てるのもとても重要です。
そうしたシミュレーションをしながら、ダメな物件を”化けさせる”というのも、不動産投資の面白さの一つです。
【指標3】残存耐用年数
新築を選択される場合は別ですが、サラリーマンがいきなり、さらの状態から新築を立てるのは、時間・コスト・経験面で非常にリスクが高いです。
特に新築は、入居者ゼロの状態から始める必要がありますので、経験者なら新築パワーで簡単に集められるかもしれませんが、経験値の少ない方は避けておいたほうが無難です。
たいていの場合は中古物件で、そもそも入居者がいるような物件を探すことになると思います。これであれば物件取得価格も安く抑えられますしね。
で、サラリーマンが中古物件を選ぶ際、特に重視すべきなのがまたこの残存耐用年数。
手持ちの資金の多さによりますが、フルローンを組もうとした場合には、残存耐用年数15年は欲しいところ。なぜなら、残存耐用年数が、金融機関が指定する返済期限になるからです。
例えば5,000万円の物件をフルローンで購入する場合、残存耐用年数15年であれば、月々の返済額は27万円程度。これが残存耐用年数5年になると、月々返済額はいきなり83万円程度になります。これ、ヤバいですよね。
逆に言うと、耐用年数が30年になれば、5000万円の物件を取得しても、月々返済額は13万程度になり、収入は、10%近くあれば月々40万はあるでしょうから、多少空室が出ても「らくしょう」になります。
この日本の金融機関はおおむね横並びでして、残存耐用年数の縛りは(ほんの一部の金融機関を除き)発生しますので、必ず意識するようにしてください。
ちなみに法定耐用年数というのが法律で決められてまして、以下の表の通りになります。
物件の構造別に分かれていまして、この年数を、購入検討されている物件の築年数(+1~2年)で引いて、残存耐用年数を算出してください。
築20年の重量鉄骨でしたら、
「34年 - 17年 - 2年 =15年」が残存耐用年数になります。
【指標4】駅からの徒歩時間ないし駐車場の有無
こちらはイメージしやすいですね。単純に、駅から近ければ近いほど入居希望者が増えますし、遠ければ遠いほど代替交通機関、つまり車が欲しくなりますので、そのどちらかは意識するようにしましょう。
よく「駅から遠くて、駐車場もないけど、ファミリー物件で広々していて、、どう思います?」と聞かれますが、ワタクシはおすすめしません。
こうした物件は、入居者を募集するのに大変苦労しますので、買うにしても近くに賃貸の駐車場があったりとか、実はボロ物件だけど脇に空きスペースがあり、それを駐車場にしてしまえばカバーできそうなど、工夫を凝らすようにしましょう。
【指標5】周辺の商業施設ないし工業団地の有無
こちらもイメージしやすいですね。東京都心の物件でしたらさほど意識する必要はないかもしれませんが、田舎の物件を選ぶのでしたらこの条件は必須です。
入居者様にも仕事があり、当然通勤は楽なほうが良いです。近くに商業施設があれば、そこで勤務する人から選ばれやすくなりますし、工業団地(工場が集まる場所)があれば、これもそうした人に選ばれやすくなりますよね。
また、商業施設や工業団地の近くは、そうしたところに人材派遣する会社の支店があったりしまして、必ずと言っていいほど社員向けの社宅を探していたりします。そうした会社にうまくあポールすると、法人契約で複数戸契約してくれたりしますのでお勧めです。
ちなみにワタクシが保有する物件は、近くに大型の工業団地があり、3つの法人から契約いただいています。駐車場はありませんが賃貸駐車場が近くにありますし、田舎ですが駅から徒歩3分なのも好まれているようです。
【指標6】土地の傾き、雨漏り、水回りの不具合の有無
指標1~5までは、物件の周辺条件に関するものでしたが、不動産投資するのでしたら当然、物件自体の良しあしも見る必要があります。
見る観点は様々ですが、少なくともこれだけは押さえて!という条件があります。
それがこの「土地は傾いていないか?」「雨漏りはしていないか?」「水回り(お風呂とトイレと台所回り)の不具合はないか?」の3点。
いずれも、直そうとした場合に相当のコストが発生するものばかり。
中でも「土地の傾き」は致命的で、直そうとすると、ウワモノの建物を取り払わないと治りません。床の傾き程度でしたらジャッキアップするなどして何とでもなったりするのですが、、
関東の方でしたらたまプラーザや横浜内陸部、関西の方でしたら神戸や生駒方面をイメージしてもらうとわかりよいですが、ああいった坂道が多く、傾斜地にあるような建物で、古いものは、土地の醸成があまく、土地自体の端部分が傾いている場合があります。こうした物件は、どれだけ良さそうに見えても避けるようにしましょう。
また、雨漏りや水回り系も、たいていの場合はその箇所だけでなく、他の場所に浸水してしまい、ばらしてみたらカビだらけだったり、木造や鉄骨の柱が腐食したりして致命的になるケースがあります。そこまでいかなくても、例えばユニットバスを変えるような場合は70~百万円単位で費用が掛かりますので高価です。
そうした修繕に必要以上のコストがかかる物件はNGになります。
【指標7】ターゲット層にあった間取り
最後に重視したいのが、このターゲット層にあわせた間取りです。
例えば工業団地の近くで、ファミリー層を狙うのであれば相応の広さが必要ですし、2LDK以上であれば、ちょうど結婚するかしないかくらいの若手社員がターゲットになったりします。
もしくはさらに若年層を意識して、あえて1Roomや1K物件を選ぶのも手です。
よく「一人暮らし物件は避けたほうが良い。できるだけ広いファミリー物件がおすすめ」といった声を聴きますが、これも一概には言えないですよね。
物件それぞれの個性や立地条件によって全く違ってきますし、そうしたファミリー層は、そもそも自分で家を購入しちゃったりしますので。。
ちなみにワタクシの物件は、周囲は2LDK以上のファミリー物件だらけで、1Roomな物件はワタクシのところくらい。ただ、逆にこれが受けていて、社会人なりたてぐらいの若い人は、2LDKなんていらないし、そもそも高くて借りれないんですね。でも、工業団地や商業施設で、派遣としてで頑張っている方の多くが若年層だったりしまして、そうした人向けの需要がとても高いんです。
購入時には、そうしたあたりも不動産屋に確認して検討を進めるようにしましょう。
まとめ
いかがでしたか?
物件検索サイトを見ていると、条件が多すぎてとても迷うと思いますが、上記7つの指標を意識すると、ほとんど絞られてしまいます。
(残念なのは、最近はそれを満たす物件がそもそもなくなってきている点なんですが。。(^^;
このようにして足切りした上で、ある程度のポテンシャルを持った物件に対してより具体的な検討を行うようにしましょう。
このあたり、ワタクシが不動産投資を始める上で参考にした書籍を載せておきますので、一読されるのもおすすめです。